コンテンツへスキップ

Scilab/Xcosのインストールと使い方 MATLABとの比較

Scilab/Xcosが必要になったので入れて使ってみます。動作の確認として、MATLABでやったのと同じ解析をしてみました。

Scilab/Xcosが必要になったので入れて使ってみます。windows10,Scilab6.0.2です。動作の確認として、MATLABでやったのと同じ解析をしてみました。

目次

  • 導入
    • scilabとは
    • Xcosとは
  • インストール
  • 使ってみる
    • ブロックを並べる
    • 設定
    • シミュレーション
    • 構文
      • polyとは
      • syslinとは
      • bodeとは
      • dampとは
  • MATLAB/SimlinkとScilab/Xocsの比較
    • MATLAB/Simlink
    • Scilab/Xcos

導入

Scilabとは

Scilabはフリーのオープンソフトウェアで、端的に言ってしまえばMATLABのフリー版です。様々な数値解析ができます。

詳しくは公式にて

MATLABに関してはこちらの記事をご覧ください。=>MATLAB使い方個人的まとめ

Xcos

動的な連続/離散時間システムのモデリングやシミュレーションができます。 MATLABにとってのSimlinkです。グラフィカルにブロックを並べることでモデリングでき、コンパイルやシミュレーションもまとめてできる優れものです。

X2C(https://www.lcm.at/virtuelle-entwicklung/x2c/)

インストール

公式ページ: Download Scilab 6.0.2 -scilab

言語設定でjapaneseを選択し、デフォルトのままfullバージョンでインストールします。

インストールページのスクショ

使ってみる

MATLABと同様に、コマンドウィンドウ、Xcosウィンドウ、SimNoteのウィンドウをそれぞれ使って解析を行います。アプリケーション/Xcosで起動するとXcosウィンドウとライブラリが現れます。

Scilabの画面
Xcos

ブロックを並べてブロック線図を作り、sin波を表示させてみます。

ブロックを並べる

まずは信号源、出力/表示などからsin波発生器、CSCOPE、CLOCKを見つけて右クリックかドラッグでXcos上に配置し、矢印をドラッグして配線します。 スコープは赤い矢印があるものを選びましょう。これはイベントシミュレーションを駆動するイベント信号になります。

ブロック図の作成

設定

それぞれのブロックで右クリックすると項目が現れて、その中からブロックパラメータを開きます。 CFSCOPEを設定します。[参考1]

  • Color or mark vector: スコープで表示するグラフ線の色またはマークの連続によるグラフを指定する。入力信号数にかかわらず8セットの数字が必要。数字が正のとき、連続線で色が指定でき、負のとき、マーク形状が指定できる。(plot2dコマンドに準ずる)
  • Output window number: グラフ・ウィンドウ番号の指定。
  • Output window position: グラフ・ウィンドウの表示位置指定。左上の位置をx,yのドットで示す。
  • Output window size: グラフ・ウィンドウの表示サイズをドット数で指定。
  • Ymin: グラフ・ウィンドウのY軸最小値
  • Ymax: グラフ・ウィンドウのY軸最大値
  • Refresh period: グラフ・ウィンドウのX軸(時間)最大値 シミュレーション設定時間がこの値より大きい場合、グラフをクリアし再度続きの時間から描画する。基本的使い方では、シミュレーション時間と一致させる。
  • Buffer size: 入力データを一時的に蓄えておくメモリ領域のサイズを指定。グラフ表示速度に大きく影響するので、変化を観察したい場合以外は、少なくともRefresh period以上に設定する。最小は2。
  • Accept herited events: (inherited?) 継承の無効(0)・有効(1)を指定。1にするとイベント・ポート赤が削除される。アクティベーションが上流で行われる場合、継承が可能。

SCOPEの積算時間を10に、最小値~最大値を-10~10にしました。 クロックとsin発生器のパラメータも設定します。初期化時間を0.0に、ゲイン(振幅)5にします。

シミュレーションの設定

シミュレーション

シミュレーションを開始します。シミュレーション/パラメータ設定から、[参考1]

  • Final integration time: シミュレーション終了時間[単位は任意]
  • Real time scaling: 正の実数nを入力すると、シミュレーション設定単位時間tがn×t秒としてシミュレーションが実行される。n=1とした場合、シミュレーションの設定単位時間が1秒として解析表示される。
  • Integrator absolute tolerance: ソルバーの絶対誤差公差
  • Integrator relative tolerance: ソルバーの相対誤差公差
  • Tolerance on time: ODE(常微分方程式)ソルバーの最小時間公差
  • Max integration time interval: ソルバー呼び出しの最大時間間隔。"too many calls"というエラーメッセージが出た場合、値を小さくする。(解析精度を落とす。)
  • Solver 0(CVODE) - 100(IDA): 数値ソルバーの選択。
  • maximum step size: ソルバーがとる最大時間ステップ

最終積算時間を1.0E1.0、すなわち10sにしました。 AEBならA*10^Bになります。

document/test_0620/image.scgはこのようになりました。指定した通りに動いていることが確認できます。

document/ test_0620/image.scg の出力

構文

ビギナーのための科学技術計算ソフト(Scilab)の使い方講座 3. 付録: Scilab言語の基本構文 -SimCircuit

Scilab コンソールの使い方の基本

「;」を後ろにつけると結果を表示しないみたいですね。

polyとは

[参考2]によれば、ploy関数は以下のように書きます。

p=poly(実数もしくは行列,"変数")
-->a=[-3 -4];
-->p=poly(a,"x")
 p  = 

            2
   12 +7x +x 

コンソールに上のように入力すると、12+7x+x^2を返します。((x+3)(x+4)=0, のときx=-3,-4) pを多項式変数として扱う事ができます。

-->s=poly(0,'s')
s =

    s
polyをコンソールに入力したときの出力

syslinとは

[参考3]によれば、syslin関数は以下のように書きます。

q=syslin(連続時間システムc or離散時間システムd,多項式)
--> s=poly(0,'s');

--> P=syslin('c',1/(s+1))
 P  = 

           
     1     
   ------  
           
   1 + s   

bodeとは

[参考4]によれば、syslin関数は以下のように書きます。

bode(syslinで定義された線形システムの多項式,x軸の最小値,x軸の最大値,x軸の刻み,['コメント'])

コメントにタイトルなどをかきます。 こだわらないなら関数のみ与えればOKです。

dampとは

[参考5]によれば、syslin関数は以下のように書きます。

[wn,z] = damp(連続時間のsys関数)

MATLAB/SimlinkとScilab/Xcosの比較

某授業のレポート1でやった問題の伝達関数を使って確認していきます。

問題: オープンループの伝達関数L(s)が以下の時の、回ループと閉ループでのボーデ線図をそれぞれ表示します。

$$L(s)=\frac{0.1}{s(s+0.5)(s+1)}$$

MATLAB

  • オープンループ

$$L(s)=\frac{0.1}{s^3+1.5s^2+0.5s}$$

MATLABオープンループでのボーデ線図

位相余裕:59° 利得余裕:17.5dB

  • フィードバック $$L(s)=\frac{0.1}{s^3 + 1.5s^2 + 0.5s + 0.1}$$

A. 周波数応答

MATLABフィードバックでのボーデ線図

B. ステップ応答

設定がうまくいかず、ぎこちないですがこんな感じ。最終値は1です。

MATLABフィードバックでのステップ応答

Scilab

  • オープンループ

複数行のコマンドを何度も使用する場合、アプリケーション/SciNoteに書くとスクリプトのようにまとめて実行できます。 見やすさのために出力なしで実行しました。

SciNoteを使用している様子

A. 周波数応答

まずはコマンドで実行してみます。

コード

s=poly(0,'s');
p=syslin('c',0.1/(s*(s+0.5)*(s+1)))
bode(p)
show_margins(p)
[gm,fp]=g_margin(p) disp("ゲイン余裕[dB]") disp(gm) disp("位相交差角周波数[Hz]") disp(fp) 
[pm,fg]=p_margin(p) disp("位相余裕[°]") disp(pm) disp("ゲイン交差角周波数[Hz]") disp(fg) 

出力

ゲイン余裕[dB]

   17.501225

 位相交差角周波数[Hz]

   0.1125395

 位相余裕[°]

   59.289834

 ゲイン交点角周波数[Hz]

   0.0293667

ゲイン余裕:位相が-180°と交差する周波数(位相交差角周波数)においてゲインが0dBより何dB小さいか

位相余裕:ゲインが0dBと交差する周波数(ゲイン交差角周波数)

オープンループボーデ線図は

Scilab オープンループでのボーデ線図

MATLABと一致してますね。

B. ステップ応答

Scilab オープンループでのステップ応答
  • フィードバック

A. 周波数応答

コマンドからやります。フィードバックした場合の伝達関数G(s)は以下のようになるので

$$G(s)=\frac{L(s)}{1+L(s)}$$

コード

s=poly(0,'s');
p=syslin('c',0.1/(s*(s+0.5)*(s+1)))
g=p/(1+p)
disp(g)
bode(g)
show_margins(g)
[gm,fp]=g_margin(g) disp("ゲイン余裕[dB]") disp(gm) disp("位相交差角周波数[Hz]") disp(fp) 
[pm,fg]=p_margin(g) disp("位相余裕[°]") disp(pm) disp("ゲイン交差角周波数[Hz]") disp(fg) 
[wn,z] = damp(g); disp("固有周波数[Hz]") disp(wn) disp("減衰係数") disp(z) 

出力

                           
            0.1            
   ----------------------  
                    2   3  
   0.1 + 0.5s + 1.5s + s   

 ゲイン余裕[dB]

   16.258267

 位相交差角周波数[Hz]

   0.1125395

 位相余裕[°]

   114.71226

 ゲイン交差角周波数[Hz]

   0.0313482

 固有周波数[Hz]

   0.2964606
   0.2964606
   1.1378001

 減衰係数

   0.6108736
   0.6108736
   1.

同じ曲線を描いていることを確認しました。

Scilab フィードバックでのボーデ線図

B. ステップ応答

最終値1で、100秒まで計算しています。

Scilab フィードバックでのステップ応答

コードは[参考6]を参考にさせて頂きました。

雑記

  • Xcosのライブラリで固まったらEscキーを押しましょう!ドラッグより右クリックの方がいいです。
  • 周波数応答を調べるとき、関数に伝達関数を与えています。なのでXcosでブロック線図を描こうと思ったらブロックを並べて伝達関数を計算させて、それを取得して関数に入れる、という手順を踏むと思うので回りくどいです。ここでやった例はすぐ伝達関数を計算できるので、コマンドでやった方が早いと思いました。
  • 何気に変数ブラウザ便利ですね。

参考

1.ビギナーのための科学技術計算ソフト(Scilab)の使い方講座 2.3 Xcosによるシミュレーション・ツールとしての使い方 (GUI型ブロック線図入力モジュール) -SimCircuit

2. Scilab関数の説明:polyとは

3. Scilab関数の説明:syslinとは

4. Scilabでのボード線図の描き方

5. damp -scilab

6. scilabで制御系設計

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。